いまこそ伸ばそう非認知能力-これからの時代のために-
附属中学校ではキャリア教育について、他の公立学校が行う「将来の職業訓練」といったものよりも、もっと広い視点で「生き方」を生徒に学んでほしいというねらいのもと、岡山大学全学教育・学生支援機構准教授の中山芳一先生から「いまこそ伸ばそう非認知能力-これからの時代のために-」というテーマで講演をいただきました。
※新型コロナウイルス感染症対策のため、密にならないよう1年生だけの参加でした。
中山先生によれば、非認知能力とは、コミュニケーション能力や忍耐力など点数にできない能力のこと。その能力は、あきらめない「がまん系」、よりよい解を求める「やる気系」、独りよがりではなく他者の考えを取り入れる「つながり系」に分けられます。
なぜ今、非認知能力が求められているのかというと、コロナ禍など先行きが不透明な現代においては、「正解」よりも、100%全員でなくても多くの人が納得できる「納得解」を見出す必要があるため。そのような「納得解」を得るには、他者の考えを取り入れ、よりよい解をあきらめずに求めていく必要があります。
また、情報処理が得意なAIに仕事を奪われるという脅威がある中、そうではなく豊かな時代をつくるためには、創造的な課題解決、他者への働きかけといったAIが不得意な非認知能力の分野で人間はAIとパートナーになる必要があります。
(学力など点数化できる認知能力も、必要だけどねとおっしゃられていました)
非認知能力を伸ばすのに中学生という時期は、脳の発達の面から言うと適齢期だそうです。では、どのように脳に刺激を与えるのか。中山先生は自分自身の生活を「日常・非日常」「個人的・集団的」の2軸で整理し、自己決定感が強くなり活動刺激が強い右上の「非日常・個人的」の欄を増やそうと生徒に呼びかけます。
「ポジティブ思考とネガティブ思考を状況に応じて使い分けよう」
「ゴールではなく、プロセスの中に刺激がある」
「ゴールを見つけられたら、状態目標・行動目標・数値目標の3つの目標をもとう」
「「好き・嫌い」「得意・不得意」のマトリクスの中で東大生が取る優先順位は?」
「主体性は利他的な面がある点が自主性と異なる。主体性を目指そう」
「己を知る=メタ認知が必要。モニタリングとコントロールで自分の行為の振り返りを」
「勉強とは生きること。人生の8割は偶然なのだから。キーワードは好奇心、楽観的、冒険心、柔軟性、持続性」
マンガ「ドラゴン桜」のシーンを交えながら熱く語る講義の時間は、あっという間に過ぎていきました。
講演後の生徒の声です。
「自分の生活は自分で決めることが大切。納得解を見つけていきたい。」
「とても話が上手な先生だった。これからAIと共存する社会に生きていく僕たちにとって、非認知能力を身につけることは重要だ。僕のゴールは分からないが、自分を客観的にみる力をつけて、自己決定感を高めていきたい。」
「先生が子供のころどんな勉強をしていたんだろう。僕もポジティブとネガティブの使い分けをやってみよう。」
生徒たちの今後の「生き方」に期待したいですね。
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